YU IIDA

Yu Iida(飯田裕)の本格的楽器製作の歴史は、
William Primrose(ウィリアム・プリムローズ)との出会いに始まる。
以来、おおよそ50年、まさにキャリアの黄金期にあるといえる。
その製作意欲は衰えることを知らず、精進の日々である。
W・プリムローズが、第一回
木曽福島国際音楽祭開催に際して
寄せたメッセージ
この室内楽コンサートでは、ビオラが非常に重要な楽器として取り上げられていますが、私の優秀な日本人の生徒何名かがその才能を披露するために上演するというより(そして実際、私がここで教えるようになった数年前から、優れていない生徒などほとんどおりませんでしたし、おそらく世界中で出会った中でも最も優れた才能があるのでしょう)、また、私を呼び物にするというよりは、むしろめったに耳にしない室内楽を聴き手にお届けするものです。
しかし何よりも、このコンサートは、あなたの国が生んだ「弦楽器職人」である、木曽福島在住の飯田裕さんによる、偉大な技術とスキルに注目してもらうためのものです。
私が日本に着いたばかりの頃、こういう才能のある若者たちが使っていた楽器の質が悪いことに悩まされていました。素晴らしい演奏家にとって、品質の悪い楽器ほどイライラするものはありません。
彼らが持っていたのは、低品質で、手に負えないものでした。
ですがある日、私のよく知らない若い男性が、自分が作ったビオラ数点を東京の我が家*まで見せに来ました。彼の才能は見て明らかだったので私は驚愕し、その瞬間気づいたのは、非常に高価なイタリア製の古く名高い楽器を買う余裕もない、若き日本人演奏家にとって、飯田裕さんの楽器こそが、当時解決できなかった彼らの問題に対する答えになるということでした。
彼を知って以来、その素晴らしい技術は急速な成長を見せており、私は大いなる誇りを持って、この類いまれな才能を持つ、日本人の職人が私のために特別に作ってくれたビオラを、このコンサートで使います。
私はそれを末永く使っていきたいですし、あなたの国でビオラを尊敬すべき独奏楽器にしてくれた、才能ある若者たちの需要は大きいので、飯田さんが工房で作るビオラがもっとそれを満たしてくれることを期待しています。
飯田裕さんに心からの感謝と、賛辞の言葉を申し上げます。
* 当時プリムローズは東京芸術大学の客員教授として日本に滞在していた。
ウィリアム・プリムローズ
木曽福島、1975年8月
Yu Iida(飯田裕)
製作の楽器の
愛用者(一部)
- ウィリアム・プリムローズ(ヴィオラ)
William Primrose (Viola) - ミルトン・トーマス(ヴィオラ)
Milton Thomas (Viola) - ライナー・モーク(ヴィオラ)
Rainer Moog (Viola) - ウィルヘルム・ヒューブナー(ヴァイオリン、ウィーンフィル首席)
WILHELM HUEBNER (Violin) - ハインツ=オットー・グラーフ(ヴィオラ、北ドイツ放送フィル首席)
HEINZ=OTTO GRAF (Viola) - ヘルムート・ニコライ(ヴィオラ、ミュンヘンフィル首席)
HELMUT NICOLAI (Viola) - カール=ハインツ・シュテープ(ヴィオラ、ケルン放送響首席)
KARL=HEINZ STEEB (Viola) - ポール・ローゼンタール(ヴァイオリン、ヴィオラ)
Paul Rosenthal (Violin, Viola) - ナサニエル・ローゼン(チェロ)
Nathaniel Rosen (Violoncello) - トビー・ホフマン(ヴィオラ)
Toby Hoffman (Viola) - ピエール・アモイヤル(ヴァイオリン)
Pierre Amoyal (Violin) - ゴッドフリート・ホーヘフェーン(チェロ)
Godfried Hoogeveen (Violoncello)

SHOFUSHA
<SHOFUSHA>は、
Yu Iida(飯田裕)の楽器製作に向かう姿勢、精神に薫陶を受け、
そのノウハウをひき継いだ弟子たち、
その工房によって作られた楽器の銘、ブランド名である。
Yu Iida の楽器製作において、「材料の木」へのこだわりは格別のものである。
<SHOFUSHA>の銘を付された楽器たちは、
北イタリアにおいて Iida 自らの手で選ばれ、伐採された木材を使用、
「材料の木」本来の音を引き出す製作法によって、上質の音色を、
また、弾きやすさを実現している。
入手しやすい価格も魅力。